こんな連載をしていたら色々と思い出してきた。メンエスに進むきっかけに至る流れの中で、いわゆる風俗エステの存在があったこと。ソフトサービスな風俗であるからか、かわいい子が多く在籍していたイメージがあり非常に好感を持っていた。ただデリヘルの一種であることから、わざわざ部屋を取らなくてはならないのが手間で余分にお金がかかるのもネックだった。そういうのがないお店ってないのかな、の過程でメンズエステを見つける。
まあメンエスとて料金に部屋代も混ぜられており厳密にはタダというわけではないのだが、見せ方というか演出としては+αを支払わされた感がだいぶ薄れるのも事実。ただサービス内容の実態からしてグレーな風俗店であり、店舗型となると場所的にも内容的にも営業が認められないことがほとんど。最近は派遣も想定し風俗営業の許可を取るお店も見かけるが、多くは無許可営業ゆえ性犯罪的なトラブルがあっても泣き寝入りになりやすいかと。
その手の噂は何度か耳にしたし、いくつかあるメンズエステの闇の部分でもあると思う。これが他の夜職ならトラブル解決係としてのケツ持ちがいたりするものだが、その点においてメンズエステはどうなんだろうか。黎明期のメンズエステでは何度か、施術後に店長あるいはオーナーみたいな方が現れたりしたことがあった。こう聞くと何か問題行動を咎められて通報されたとか想像しがちだが、そうではなく単純に施術の感想を求められただけ。
そんな牧歌的な感覚もメンズエステには存在していた。当時はちょっとした会社経営者みたいな人が副業でメンズエステというのをよく聞いた。その姿にいわゆる反社的なものの影は感じられなかったのだが、今は夜職のプロも参入するメンズエステなのでお店によってはもしかしたらあるかも知れない。まあでも普通は最初から終わりまで会うのはセラピストだけが常識だろうし、客側の心情としてもその方が煩わしさもなく気持ちも嬉しいはず。
今回話題の「Coco-Relax(ココリラックス)」も1度だけ施術後にお店の関係者が出てきて話をした記憶がある。このお店を知ったのは自身の人生がどん底に近く、何をやってもうまくいかなかった頃。5月だったか6月だったか夏前の汗ばむ季節だった。メンズエステのHPにしては雰囲気が洒落ていてエロさが全くないが、セラピストの紹介画像が一切なくて文面プロフィールのみ。初訪でついたセラピストは確か30歳手前くらい設定だったかと。
もちろん別人ではあるものの、学生時代にアルバイトしていた職場の40代パート主婦に似ていた。実はあの人がパンチラしたことがあって勃起したんだよなぁ。服装はこれまでと違って、白Tシャツにタイトミニ。マットタイプなのでパンチラもバッチリ。お店に通っている感は全くなく、自然体で彼女の部屋に遊びに行くようなスタイル。たぶん同時期の他のお店でも同じようなコンセプトはあったのだろうけど、初めてここで味わうことに。
このお店は当時としては画期的な要素が2つあった。前後のシャワー時間が施術時間に含まれないこと、そして種類の異なる施術を組み合わせるシステムだったこと。シャワーについてはメンエスだけでなく風俗においても大半がプレイ時間に含まれる、が業界の常識というか慣習でもある。例えば90分の予約を入れても実質の施術は70分程度になる。ただそれを「施術時間にはシャワー時間も含めます」と親切に表記しているお店はほぼない。
結局そういう業界なのだ。その点 「Coco-Relax(ココリラックス)」 は贅沢な時間の使い方をしていた。さらに予約と予約の間の時間もたっぷり取るため、取れる客数は極めて少なくなる。全盛期は小伝馬町に浜松町そして赤坂見附にもルームがあったが、少しでも出遅れると即満枠になることも珍しくなかった。当初はそうでもなかったと思うのだが、いつの頃からか電話番の応対が横柄になって非常に評判を落としていたのは有名な話で。
よく言えばゆったりで、悪く言えばのんびりなこの仕組み。顧客満足度を高めてリピートを促進する狙いと、予約枠にプレミア感を持たせる効果を期待していたのだと思う。何となく夜職慣れしてなさそうな女の子が中心だったこのお店にはちょうどよさそうであり、大きな効果を発揮していたと推測される。逆に休憩や準備の時間は最小限でいいので、勤務する以上は1人でも多く相手して稼ぎたいセラピストには完全に不向きなお店でもあったが。
美人もいるにはいたが、意欲ある美人が集まらないお店。お店のコンセプトとして金髪と喫煙者NGを掲げていたこともあり、何だか地味で魅力に欠けるセラピストの方が多かった。何か特別な体験をしに行くのではなく、言っては失礼だがどこにでもいそうな女の子の部屋に遊びに行く。あなたにはせいぜいこの程度の、しかも「疑似の」彼女くらいが現実的でしょうと言われているような屈辱感。たとえ大金を払っても、美女には会わせてくれない。
ひたすらリアルを追及されるメンズエステ。そんな不思議な楽しみ方がこのお店にはあった。次回はもう1つの特徴である施術内容の組み合わせシステムについて触れようと思う。
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