メンズエステ人生を振り返る ~混迷の中で⑤~

さて前回予告した通り最終章へ。前回記事がやや曖昧になってしまったのは、さすがに近過ぎる話題で色々と名前を出すのも憚られるところがあったから。2022年も少ないながらそれなりに楽しめる機会には恵まれたものの、トータルで考えるとイマイチな展開が多く特に年末あたりは散々であった。まあメンズエステに長く通っていると、それこそ数ヶ月間ハズレを引き続けるようなことは珍しくないものではあるけど。

なのでそんなに悲観的になる必要はないのだが、さすがにもうこれ以上散在するのはどうかなと思って業界からは距離をおくことにした。既に多くの人が指摘している通りで日本は沈没しつつある。昇進やヘッドハンティングあるいは成功した起業家でもない普通のサラリーマンだと、この30年で給与がほぼ増えていないし今後も増えることはない。物価は上昇しているので実質賃金という意味では減っているのが現状か。

もちろんさすがに戦後復興やかつての東京オリンピックの時代と比較するのはナンセンスだが、それにしてもである。そんな中で不確定要素の強いメンエスにお金を払うモチベーションが大きく低下してしまった。大金をはたいても楽しめる保障はないし、楽しめたとしても何か利殖や配当のような現実的なメリットがあるわけでもない。気持ちの面で救われるとしても一時的なもので永遠に続くことはありえないわけで。

誰もが考える「メンエスで実現できたらいいな」はほぼ達成した。それこそ以前は「撃珍マーク」とかいって各店でヌキをゲットしていくのをゲームのように遊んでいたこともあった。とりわけ健全店でその手の体験を得ることは高難易度であり気合も入った。でもヌキが達成したら今度はそれ以上の行為を求めるだけで、結局はその繰り返しで飽きた。何か新たに攻略したいようなミッションがもはやこの業界にはない。

短期間に消費し過ぎた結果なのかも知れないが、いつなくなるかわからないものだからなぁ。今のところは隙間産業として成り立っているメンズエステも、もっと問題視されれば法規制対象になることだってあり得る。そうなればこの業界そのものがおしまいであって、後の世になって「かつてはこんな遊びがあった」なんて語られる日が来るのかも知れない。そうなったらこれまでの経験がどこかで陽の目を見るのかも。

とはいえメンズエステはもう少しだけ輝き続けるはず。風俗ほどダイレクトにエロでなく、キャバクラほどお金を払っても何も帰ってこないシステムでもない。何というか期待できるのかできないのかがわからない曖昧な感覚は、日本人の特性に非常に適しており相性がいい。素人っぽい女の子と部屋でゆったり、2人っきりで過ごすことができる。新たな働き方としてもこのシステムを考えた人は天才的ではないだろうか。

メンエスを知ったばかりの2007年あたりのような、緩やかにドキドキしながら遊んでいた時代はだいぶ過去のものとなったように感じる。でも懐古的な考え方よりも、常に今やこれからがいい世の中になっていくと思いながら生きていた方が楽しい。それでも昔はよかった、と思う人が多いのはその時代がその人にとって輝かしいものだったからだろう。若く希望に満ち溢れていて、毎日刺激があった頃は黄金時代なのだ。

いつ何時も、全ての人にとって輝かしい人生が待っていることを願って本シリーズを終了したい。

(おしまい)

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