メンズエステ人生を振り返る ~混迷の中で④~

前回からの続きで最近のお話を少し。2022年以降はメンズエステ店摘発のニュースがいくつも舞い込んだイメージがある。以前にもいくつかその手の話題が出たことはあったが、これほど大きいものが連発したのは過去になかったような。店舗名だけ知っていて行ったことのないお店もあれば、かつては健全が売りだったはずのお店もあったし。また健全なイメージはないけどねというお店もあったがどれもが闇に消えた。

ここ数年都内のお店には全く足を運んでおらず事情がわからないが、コロナ前後くらいから一部店舗が過激化している噂は耳にしている。つまりお店という箱を利用してパパ活化している所もあり、客だけでなくセラピストもそれ前提でやっていると。それゆえ梅毒が蔓延しているのではないか。そういうのもいずれ終焉を迎える運命にありそう。勘のいい人であればメンエスの風向きが変わったなというのを感じたはず。

お店やセラピストが過激になる理由は、競争が激しいことに根源がある。まず来てもらうためには期待値を上げるしかない。お店の人が直接電話口で「うちはアリです」と言えないので、マイクロビキニやセラピストX(旧Twitter)で肌を露出して示唆する。そして来た客にリピートしてもらうためには内容で差別化しなくてはならず、それ相応の内容で接客する。裏オプでお金を取れば来店客数が少なくても客単価は上昇。

お店とセラピストが結託しているタイプもあれば、お店の一方的な命令というか指示でそうなっているタイプもあるんだろうか。でもセラピストにとってお店が繁盛することはどうでもよくて、自分にお金が入るかどうかが重要なのだ。もちろんお店が繁盛することで得られるメリットはあるけど、社員でもないし長期的に貢献するわけじゃないので。結局のところはバレずにやったもん勝ちみたいなところも少しはある。

一方で健全店が勢いをつけつつある現状も見逃せない。それこそ津田沼のアロマギルドや船橋のAroma Rapyu(アロマラピュ)なんていつ死に絶えてもおかしくない感じだったのに、過去あり得ないほどに体験入店が殺到していた。まあ定着率の低さは相変わらずで、お店の魅力や運営者の腕前もあるがそもそもセラピスト自身のスペックとかもあるので。まるで終息に向かうと言われるコロナ初期の頃のような動きかと。

物価高等々による生活困窮もあるだろうが、健全店は後述する2つの理由で活用された印象である。1つ目はかつての競馬におけるステップレースとしての機能。メンエスは夜職の中継点、どこまで許容できるか軽く確かめて判明したら次のステージへ。次に来るのは他店舗メンエスもあれば、短期間で一気にを目論んでの風俗というパターンもある。若い時間は貴重だし、適正次第で最大限稼げる可能性のある分野に行く。

昔であれば風俗に直行というパターンだが、誰しも好んで過激行為をしたいわけではないのだ。またはキャバクラという選択肢もあるが、風俗より採用が厳しく誰でもというわけではないのと地方ではキャバクラは沈下しつつあるなんて話も出ている。無理にリスクを取るのではなく夜の世界へは少しずつ足を踏み入れる。そういう意味でメンズエステは最適であり、認知され選択肢として機能することになったのだろう。

そして2つ目は「熟女の過激店からの転身」である。5年くらい前に都内で風俗嬢がメンズエステに多く転身した時期があったと記憶しているが、あれがメンエス内で起きているような。過激店で心身を擦り減らすことに疲れ、それでも風俗に行かず健全店で細く長く続けるためか。元々過激店にいたのでやろうと思えばできないことはないが、そんなに全てを披露しなくても客は簡単に喜んでくれてリピートになりやすい。

来店客が多くセラピストも多い激戦区でトップを狙うよりも、少々客数が少なく客単価が低い健全店で人気嬢になる方が実は楽だったりする。純粋に健全店でないと無理なセラピストが多い一方で、そうではないがあえて健全店にいるセラピストもいる。それゆえ低確率には変わらないが以前と比べて健全店でもいい思いができるようになったのは気のせいではない。ただしその行く先にあるのは健全店の過激化であろう。

健全店の存在意義は新兵と退役軍人のためのものか。業界未経験の子にしても比較的寛容なら短期間で移籍し本当にいい人材は残らない。やがてそのお店もどこかで消えていく運命にあるのかも。そうなるとメンズエステの未来は明るくないような気がする。本来メンエスは内容上強いリピート動機がない業態なので、超絶人気セラピストでなければ短期間で大金を稼ぐのは難しいとされる。元々は細く長くが信条なのだ。

よって専業よりも本業のある人向けのお仕事である。社会常識や人間的魅力という意味でも、短期集中のガチ勢より兼業が圧倒的に優れている。メンエスは稼げるみたいな妙な熱気を帯びたここ数年が異常であっただけ。コロナだからこそ脚光を浴びたメンズエステも本来の姿に戻りつつあるかも知れないのだが、1度進んだ時計の針はそう簡単には戻せない。そしてここに来て光熱費の上昇というさらなる難問が出てきた。

これによりメンズエステは開けても客が入らなければ地獄、かといって経費削減で部屋の一部を稼働させなくしても地獄になりつつある。これが原因というか決定打となってこの冬で閉店したであろうお店もあり、やはりここらが潮時なのかとも思う。次回はついに最終章へ。

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