お気に入りセラピストの退店と再生

メンズエステに関わっていると、お気に入りセラピストが目前から突然いなくなることがある。こういうことになるなら連絡先を交換しておけばよかった、なんて思うものだが意外とそれは問題ない。仮にそうしてあってもほぼ音信不通になるのであまり変わらない。さらに言うなら大半のケースは結果的に他店でセラピストとして復活するので気にすることはない。「メンエス卒業」と言うセラピストほどそうならない。

お気に入り(そう思っているのは客だけだが)を失った場合「まあそういうこともあるよね」と気にも留めないのはごく一部。大半の客は「どこ行った」と意地になって移籍先を探そうとする。自らに捜査能力がなくても別の誰かが捜索し、在籍店を見つけようものなら掲示板に書き込んでくれる。100%正確ではないにしても多くは極めて高い精度で突き止めてくる。その精力たるやいったいどこから湧き出て来るものか。

一般社会ではそれを「ストーカー」と呼ぶのが通例である。お金を渡し遊んでもらっている相手にそこまで固執してどうするのか。仮にお気に入りのセラピストができても、それが一生にわたってお気に入りであり続けるということはありえない。セラピストが年齢を重ねればより若い方に目が行くし、お気に入りがいたとしても偶然入った別店で想定外のお気に入りを発見。そっちが優先になることすら珍しくないのだ。

お金が必要なセラピストはすぐに移籍先を見つけて営業再開するが、地域を変え新たに始める者もあれば同じ地域で復活するにしても数ヶ月間あける者もいる。そうするのはセラピストなりの事情があるもので、そうしないとやってられないような仕事であるということの証なのだろう。全ての客が礼儀正しい普通のまともな人ということはなく、チンチンを洗わないとか肛門にウンチがついているようなこともあるとか。

一方で辞めるセラピスト側は客をどう扱うのか。最近では前店の顧客を引っ張っていく者も珍しくないようだ。店管理のX(旧Twitter)アカウントだと退店の際に削除されることもあるが、個人所有あるいは継続使用可能なアカウントなら客とゆるく繋がりDMも可能。経験者として移籍した場合、移籍先からの信頼を手っ取り早く勝ち取るには集客やリピーター獲得が最もわかりやすい。それがあれば融通がききやすくなる。

実は前のお店の客を持ち去るのはマナー違反とされることが多いらしいが、やったもん勝ちみたいな所もあるのだろう。ところが全てのセラピストがそうしているわけではない。そもそも連絡先とか交換しない真面目なタイプもいるし、客が粘着することへのリスクを避けたい事情でそうしていないこともよくある。そうすれば移籍の際につまらない柵を一切排除して心身新たに再生できると。その気持ちも理解はできる。

連絡先を交換した客側は、デートと称していつかホテルに誘うことしか考えていない。そりゃ毎日のように「次はいつ空いてる?」なんてメッセージが来たら幻滅する。報酬なしなんてのは論外で、仮にそれなりのお手当てがあったとしてもお断り。本人の自尊心ということもそうだが、貴重なプライベートをキモ客のためになぜ使わなくてはならないのか。休日はメンズエステで染みついた穢れを落とすための日なのだ。

在籍中か休暇中かに関係なく、X(旧Twitter)に誰と行ったが知らんが旅行や夢の国に勤しんだ画像が時折アップされるのはそういうことでもある。あるいは推し活(ホスト含む)で精神バランスをキープしていることも多い。留学や資格取得や引っ越しのためにお金を貯めている話ほど、実際は散在しがちなもの。そんな休日や休眠期間を経て多くはどこかの店に舞い戻る。セラピストはそういう生き物というのが現実で。

かつてのお気に入りを別のお店で見つけた場合、前店の施術の思い出が蘇ってくることだろう。その時と同等かそれ以上の内容を勝手に期待しがちではある。ただ現実は再会して喜ばしいという結果になることはほとんどない。多くの場合において前のお店の施術内容を超えることはなく、むしろトーンダウンされた施術に終始することも珍しくない。よって余計にガッカリするが、なぜそういうことになるのであろうか?

・覚えてないから

そもそもの話として、客のことを把握し覚えてくれているという思い込みが間違いである。客が思っているほどにはセラピストは客に対して思い入れがない。仮に前の在籍先で過激な施術をしていても、誰に対してそれをやっていたか覚えていないこともある。誰が客として来ようとやることはだいたい同じで、そこにあなたのためにという感情は一切ない。大昔のT型フォードを作る工場と基本的には同じような仕組みだ。

例えば前回の訪問が3ヶ月前とか半年前であれば、セラピストが覚えてないのは仕方ない。毎日顔を合わせていても何も覚えられない人もいるわけなので。もちろん店側が普通に顧客管理していれば来店日時とコース、セラピストのコメントくらいは残されていることだろう。仮にそれがあったとしてもよほどの印象に残ってない限り、山田や田中みたいな他に5人くらいはいそうな名前だけで覚えてもらうのは無理ではある。

まあこれもお気に入りというワードを語る上で重要なことである。施術はした側よりもされた側の方が記憶に残っているものだけど、この人には以前ここまでやったから… みたいな計算を1人1人に対して丁寧に考え戦略的に働いているセラピストはかなり少数派である。そこまでの頭脳と思考があればもっと別の仕事で活躍できるだろうし、メンズエステの沼なんて場所に足を突っ込む必要すらない。所詮そういう場所だ。

・覚えているから

実は忌まわしい記憶として覚えているのだが、わざと知らないふりをしているだけのことも。思い出したくもない客の場合はもちろんのこと、かつて自身がやっていた行為をなかったことにしたい感情の現れでもある。前のお店の運営側が過激行為を推奨していたとか、当時メンエス初心者で何も知らず客の言われるままに過激行為をしていたとか。そういうのから脱却し「まともな」セラピストになりたいとか考えがち。

そもそもこの世界にまともという言葉は空虚だし、どんな経緯であれ過激行為に頼る時点で客側にしてみればそういうセラピストだという評価は覆らない。仮にその子がめちゃくちゃ施術力が向上したとして、努力を認める人は一定数いてもそれで評価が劇的に上がることはない。上記の通りで客の記憶はそうそうアップデートされないし、そもそも客側はお店が変わったことでのコンセプト差異なんて部分に着目しない。

そういう所でも客とセラピストの考え方にはズレが生じやすい。セラピストは2度と来て欲しくない理由から、あえて嫌われるために輪をかけてド健全施術してくる可能性も高い。この1回で揉めて面倒なことになっても、その後の長期的なストレスの原因を除去した方が得策だと考えるのだ。ただそういうセラピストの気持ちはあまり通じないものなので余計に火に油を注ぐことになりがちだが。お店の人を利用するべきか。

・まとめ

前のお店での出来事はその時だけの思い出ということにして、別の新たなセラピストを探した方がお互いのためでもある。その方が貴重な時間とお金を無駄にしない。まあ最も無駄にしないのはメンズエステそのものに行かないことではあるが。

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